学会のご案内
日本観光ホスピタリティ教育学会(The Japanese Society of Tourism and Hospitality Educators)は、2002年に設立された「観光ならびにホスピタリティ教育に関する研究とその連絡提携および促進を図り、もって観光ならびにホスピタリティ教育の振興に貢献することを目的とする」(会則第4条)学会です。
2007年には「日本学術会議協力学術研究団体」に指定されました。
日本観光ホスピタリティ教育学会は、観光ホスピタリティ教育の発展と充実に向けて、研究・教育実践を行う団体です。主な活動としては、全国大会、シンポジウム・研究会、機関誌発行があります。
日本観光ホスピタリティ教育学会の会員は、高等学校や大学、 専門学校などの教職員をはじめ、関連企業の教育担当者や、将来観光ホスピタリティ教育を担う学生会員から構成されています。
全国大会や研究会などの学会活動を通じて、所属の枠を超えた会員同士の交流が盛んに行われており、すでに研究・教育面においても成果を上げています。
設立 | 2002年3月16日 |
---|---|
会員数 | 202名(正会員190名、準会員7名、特別会員1団体、名誉会員4名) (2023年4月1日現在) |
会長 | 藤田 玲子(成蹊大学) |
事務局 | 〒181-8612 東京都三鷹市下連雀5-4-1 杏林大学外国語学部 古本泰之研究室気付 日本観光ホスピタリティ教育学会本部事務局 行 TEL: 0422-47-8000(代表)FAX: 0422-47-8077 |
その設立に至る背景としては、設立発起人たちの次のような動機を挙げることができます。
わが国でも観光ホスピタリティ分野の教育活動が、大学、短期大学、専門学校、高等学校、それぞれの段階で活発になってきていることから、観光ホスピタリティ関連の教育機関の関係者が集まって、特に教育の側面を対象として研鑽を積むことができるような学会が必要と考えたこと
観光ホスピタリティ教育の分野に特化した国際的な学会である「国際旅行観光教育学会」(The International Society of Travel and Tourism Educators、略称=ISTTE)の日本支部的な組織を設立することによって、国際的な連携を図ること
同じように国際的な学会である「アジア太平洋観光学会」(The Asia Pacific Tourism Association)の年次大会を、国際的な責務として日本でも開催するため、その受け皿として日本における観光ホスピタリティ関連教育機関の連合体的な組織を設立すること
設立発起人たちが憂慮したのは、観光ホスピタリティ分野ではすでに多数の有力な学会があり、屋上屋を架するという批判が出てくる可能性でした。しかし、研究教育分野としての存在感を示すため、また、研究発表の機会をできるだけ多く確保するためには、他の学問分野同様、同一の分野であってもそれぞれ特色のある複数の学会があっていいと考え、設立に至りました。
現在、観光ホスピタリティ教育に従事する教員・研究者の連合組織体を目標に、活発な活動を展開しています。
「日本観光ホスピタリティ教育学会」は、名称どおり、ホスピタリティと観光にかかわる教育のあり方を探究する学会として創設されました。日本のホスピタリティ観光教育には、多くの機関が携わっています。たとえば、大学、短期大学、専門学校、高等学校、そして企業などの機関でホスピタリティ観光教育が提供されており、それはますます広がってきています。そして、そのホスピタリティ観光教育のあり方が、いま大きな関心を集めるような社会状況にあるようです。
しかし、残念ながら、日本の高等教育機関や企業では、ホスピタリティ観光教育のあり方が十分に研究され、議論されてきたとはいえません。ホスピタリティ観光教育の先進国であるアメリカでは、さまざまな教育機関のなかで、とりわけ大学から大学院までの一貫したホスピタリティ観光教育が確立されているようです。その教育には、実習や研修を効果的に盛り込む実践的カリキュラムが編成されており、その教育課程修了者は、留学生を含めて、世界中の観光関連領域で活躍しているといわれます。
アメリカのホスピタリティ観光教育の実践的なあり方は、アメリカ諸大学への留学生などを通じて、世界中に広がりつつあります。とくにアジアの多くの国々では、充実したホスピタリティ観光教育カリキュラムが履行されているようです。こうしたホスピタリティ観光教育は、アメリカはもとより、アジアでも関連の国際学会が創設され、その教育内容をさらに充実するように議論・検討されています。
こうした世界のホスピタリティ観光教育の動向にたいして、日本のホスピタリティ観光教育は後れをとったといわざるをえません。この問題は、日本の高等教育機関を代表する大学の教育理念に起因するのかもしれません。日本の大学教育は、ヨーロッパの大学を手本にして、「学問伝授型」教育を踏襲してきました。そこで、法学や経営論のようなきわめて実践的な教科さえ、「実用学」としてよりも「理論学」として教育されてきたのです。日本の大学関係者には、「理論学」が高尚で「実用学」は浅薄だ、という認識があるのではないでしょうか。
しかし、日本の社会も全体に大学に専門職業教育を求める動きが出てきたようにみえます。アメリカ型大学教育のあり方をすべてよしとはしませんが、日本の大学が「実用学」に基づく実践的教育を再考すべき時期と思われます。日本の大学教育の模範であったヨーロッパの大学でさえ、とくにホスピタリティ観光教育では実践的教育にいち早く着手しているようです。このような背景からも、本学会の活動は、大学の専門職業教育をはじめ、高等教育機関における実践的教育をリードするものと期待されます。
それにしても、本学会で主題となる「ホスピタリティ」は、とても曖昧な概念です。しはしば「サービス」と互換的に用いられたりもします。私見ですが、「ホスピタリティ」は主に対人関係におけるサービスであり、そこに相互理解や相互信頼が伴うサービスといえそうです。この視点から観光事業はホスピタリティ産業とみなされ、アメリカでも観光事業はホスピタリティ産業として位置づけられているようです。
「ホスピタリティ」概念を「対人関係の相互理解に基づくサービス」と考えると、大学もまたひとつの「ホスピタリティ産業」といえます。日本の大学は、「ホスピタリティ産業」としての役割を果たしてきたでしょうか。大学教育にたいする学生や社会の反応をみると、答えは否定的です。このように教育機関がホスピタリティ産業となりえない現状は、日本の教育界全体に当てはまるのかもしれません。そこで、本学会の活動は、ホスピタリティ観光教育の議論を通じて、日本の教育全体のあり方にまで一石を投じそうです。
「ホスピタリティ」の意味は曖昧ですが、ホスピタリティ・マネジメントの発想や実践は社会に広く浸透し、だれもが重要視する課題になっています。そして、ホスピタリティに深く関わる観光も、見過ごせない重要な社会現象になりました。ホスピタリティ教育と観光教育のつながりは深く、それらが補完しあう教育のあり方も問われます。
いずれにせよ、ホスピタリティと観光の教育のあり方は、いまや世界中の関心を集めています。「日本観光ホスピタリティ学会」は、いくつかの国際学会と連携しながら、このホスピタリティと観光の教育という難題に取り組んでいきたいと考えます。
歴代会長
第10代会長 藤田 玲子(2023年6月-)
第 9代会長 宍戸 学 (2021年6月-2023年6月)
第 8代会長 小畑 力人(2018年6月-2021年6月)
第 7代会長 鈴木 勝 (2016年6月-2018年6月)
第 6代会長 小畑 力人(2014年6月-2016年6月)
第 5代会長 村上 和夫(2012年6月-2014年6月)
第 4代会長 清水 誠 (2010年6月-2012年6月)
第 3代会長 山上 徹 (2008年3月-2010年6月)
第 2代会長 岡本 伸之(2006年3月-2008年3月)
初代会長 堀 敬史 (2002年3月-2006年3月)